ADCのフロントエンドの設計

ADCの分類方法として、アナログ信号の入力部にバッファがあるか、無いかというものがあります。 後者は、スイッチキャパシタ方式と呼ばれています。文字通り、キャパシタにスイッチが付いていて、 クロックのHigh, Lowに合わせてスイッチが開閉することで、電荷を蓄積し、 その電荷をデジタル値に変換するという動作をするようです。

それぞれのタイプには、以下のような利点と欠点があります。

利点 欠点
バッファタイプ アナログ入力部のインピーダンスが一定なので、設計しやすい 消費電力が大きい
スイッチキャパシタタイプ 低消費電力 アナログ信号の周波数に応じて、入力インピーダンスが変化する

スイッチキャパシタタイプを使用する場合には、フロントエンド部の設計にも気を遣う必要があります。 それについて、Analog DevicesのAN-827(日本語)(英語)とAN-742(日本語)(英語)が参考になりました。

キャパシタに電荷をためる段階をtrack-modeと呼び、電荷を保持する段階をhold-modeと呼びますが、 track-modeのインピーダンスマッチングを取ることが必要です。 とりわけ、インピーダンスのうち、キャパシタ由来の虚数成分を、フロントエンドでインダクタを使用して打ち消すことが結構重要のようです。資料には、その定数の求め方の計算例が出ていました。

また、資料中の図から、200MHzあたりを超えるとインピーダンスは実数成分、虚数成分ともにそれほど変化していないようです。 100MHz以下の領域では周波数に依存して大きく変化しています。

現在使用しているADCであるLTC2292も、フロントエンドの推奨として、70-170MHz, 170-300MHz, 300MHz以上という3つの例がデータシートに出ていますが、おおむねこのような分類で周波数を網羅できる理由も理解できました。

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