KiCadでの多ピンICのライブラリの作成にはQuick KICAD Library Component Builderがおすすめ

KiCadで多ピンICのライブラリを作成する際、コンポーネントエディタで1本ずつピンを配置しても良いのですが、 ピンの入出力などの設定をいちいちマウスの右クリック->編集で行うのは面倒です。

そのような多ピンのICの場合にどうしたら効率よくライブラリを作成できるのか、試行錯誤しましたが、 次のような方法が私にはしっくりきました。

  1. Quick KICAD Library Component Builderにて、ひな形を作成する。
  2. ダウンロードしたひな形をコンポーネントエディタで編集する。

まずは、Quick KICAD Library Component Builderにて、 必要なピン数などを選択します。ここで大切なのは、 最初の画面のComponent Features > Parts Countにコンポーネントの分割数を指定することです。 ここで指定した数のユニットに分割されたコンポーネントとしてICが作成できます。

Component Builder画面

次の画面では、画面上でピンをずらーっと一覧でき、シンボル上のピンの向きや、 どのパートにピンが所属するか、ということも設定できます。

これが必要なのは、多ピンICになると、回路図を書く際に、例えば複数の電源ピンを1つのブロックとして、 データ信号は別のブロックで、というように、ピンの機能ごとに異なるブロックになっていたほうが、 すっきりとして理解しやすい回路図が書けるためです。

(公式ドキュメントだと、Pythonでパートの番号などを入れ替えるスクリプトが示されていますが、私には最初の作成時から上記Webアプリで作成してしまったほうが楽だと感じました。)

最後に、“Build Library Component"を押すと、指定したコンポーネントが含まれるライブラリがダウンロードできます。

次に、ダウンロードしたlibファイルに含まれるコンポーネントを、コンポーネントエディタで編集します。 例えば、データバスが32本ある場合、ビット並び順に上から下へ、というように並べ替えます。 ただ、ここでも注意点があります。次の図にあるように、画面右上にある、 “パーツ/ボディ形状ごとのピンの編集"というのを押した状態にして作業する、ということです。

パーツ/ボディ形状ごとのピンの編集

これが押されていないと、ユニットAでピンを動かすと、ほかのユニットの同じ場所にあるピンも動いてしまいます。 これがなかなかわからなくて、「KiCadはこんなこともできないのか!!」と私は小一時間以上悩みました。

後はピンを自分の気に入るように移動すれば完成です。

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